アクセスランキング

2009年12月31日

目次

■はじめに
ごあいさつ

 
物理の学習法などはこちら↓


■たとえ話で語る物理
001 究極の「先割れスプーン」探し
002 ある遺跡の暗号
003 △学入門
004 100題修行
005 火の玉を見ました
006 等速直線運動なんて見たことがありません
007 理想的水平面でのカーリング
008 スペースシャトルでハイタッチ
009 通信添削 Jet会
010 巨大迷路を抜けろ
011 物理神拳の奥義
012 有限の時間に生きる生命であるキミが、永遠と続く物理現象を理解するためには
013 物理の神様の願い
014 法則二元論から一元論へ
015 火あぶりにならずに革命を起こす
016 直接的に求める?間接的に求める?
017 密室殺人の犯人は誰だ!
018 単原子分子理想気体
019 理想気体がホームセンターに?
020 大芋煮鍋くらべ
021 過酷なパン工場でのバイト
022 次元を上げて規則性を見る
023 四次元球が通過!
024 ヒロシとタケシの運命はいかに
025 家族対抗!回転すし早食い大会
026 幻のペット、ンジャマナ
027 どっちの仕事が大変?
028 ミクロ村とマクロ村の掟
※田原の物理は、ヤフーカテゴリに登録されています。
 相互リンクをご希望の方は、こちらをご覧下さい。


tahara_phys at 23:59トラックバック(48)  この記事をクリップ!

2008年04月29日

一次元さんお断り

坂道を登りきったところに、その料亭はあった。

創業200年の老舗であり、その門構えには見る人を圧倒させる威圧感があった。

その威圧感をさらに強めているのが、
門の中央に立っている小さな立て札であり、

そこには、

「一次元さんはお断り!」

という文字が書いてあった。

風雨にさらされ、消えかかったその文字が示す「一次元さん」

その意味が、分からないものにとっては、
「お断り」の文字だけが意味のある記号として訴えかけてくる。

この料亭は、こうやって、大勢の人間に門前払いをくらわせ、
200年間もの間、一部の人間にとっての憩いの場を確保してきたのだろう。

 

さて、その料亭の前を、好奇心の強い男、面堂さんが通りかかった。

「なんだい?一次元さんっていうのは?」

「どうせ断られるんだろうけど、何ていって断られるのか興味があるな。」

「ちょっと入ってみるか」

 

仲居:お客様、申しわけございませんが、こちらは、一次元さんお断りと
   なっておりますが。。。

面堂:知っているさ。私は決して一次元さんではないですよ。

仲居:お客様、では、確認させていただいてもよろしいでしょうか?

面堂:(どうやって、確認するのかな、これで、一次元さんの招待がわかるぞ)

 

仲居:それでは、こちらにどうぞ。

門の後ろにある小部屋には、振幅10cm、周期12秒で左右に震動する
ばね振り子があった。

仲居:おもりが原点を通過してから、距離5cm進むまでの時間をお答え
   ください。

   これは、当店で200年間行っている確認方法ですので、失礼をお許し
   ください。


面堂:1往復は12秒なんだから、10cm進むのが四分の一の3秒か。。。。
   5cm進むのは、その半分だから。。。1.5秒???

   でも、まてよ。1次元さんというのは、どういう意味だろう?

仲居:1分以内にお答えいただけない場合は、1次元さんでしたということで、
   お帰りいただきます。

面堂:(困ったな。。。何かヒントは??)

面堂さんがあたりを見回すと、

「点は0、直線は1、平面は2、立体は3、思考は4を超える!」

と書いた掛け軸が目に入った。


そうか、1次元さんとは、直線上で考えているということか?

では、2次元(平面)で考えるとどうなるのか??

 

面堂さんは、振幅10cm、周期4秒の往復運動の代わりに、
半径10cm、周期12秒の等速円運動を考えた。

目の前の往復運動を、円運動の直線に映った影として捉えたのだ。

 

仲居:「あと10秒です。お答えください」

面堂:(影が5cm進むとき、円運動は60度回転しているから。。)

   12×60/360=2秒!


仲居:おめでとうございます。お客様は1次元さんでないことが、
   分かりましたので、こちらにお入りください。


面堂さんは、とても爽快な気持ちで、仲居の後をついていった。

そこには、もう一つ、門があり、仲居に続いて通ろうとすると、

仲居:「あ!こちらをお読みください!」

仲居の指し示した先には、古びた立て札があり、そこには、こう書いてあった。

 

「2次元さん、お断り!」



二項対立を超えて新しい地平を切り開け(2)

「光とは、波動なのか粒子なのか?」

前期量子論のストーリーの最初は、この問題について、物理学者が、
どのように考えて、どのように解決してきたのかを学びます。

結論は、

「光は、波動の性質と粒子の性質の両方を持つ」

ということになるのですが、はじめは、これがなかなか理解できないわけです。


「粒子っていうのは、パチンコ玉のようなヤツでしょ。」
「波動っていうのは、水面波みたいなヤツでしょ。」

なんて考えると、「両方の性質を持つ」という言葉で頭が破綻してしまい
ますよね。

だいたい、粒子が進んでくるときには、パチンコ玉みたいなモノが、
ビューっと飛んでくるわけだし、

波が伝わってくるときには、サッカー場に発生するウェーブのように、
運動状態だけが伝わっていくわけで、

これの「両方の性質を持つ」といってしまうのは簡単だけど、
イメージするのは難しいです。

頭の中では、

「どっちなんだ???」
「光は波なのか?」
「粒子なのか?」

という粒子と波動の2つの分類のどちらかに光を振り分けようとして、
振り分けられずに混乱するのです。


歴史的にも、光は、粒子と波動の合間を揺れ動いてきました。


ニュートンは、日光によってできる影の輪郭がくっきりしていることを根拠に、
「光は粒子だ!」と主張しました。
波動だとすると、回折するので輪郭がぼやけるはずだというのです。

ヤングは、光は波長が短い波なので回折しにくいだけだと考え、間隔の狭い
スリットを用いれば干渉縞ができることを実験によって示しました。
これが、ヤングの実験です。
ヤングの実験によって、「光は波だ!」ということになりました。

マクスウェルは、電磁気の基本方程式の解として、電磁波が現れることを
示しました。電磁波の速度が光速Cであることから、「光は電磁波だ!」と
考えられるようになりました。


ここまでは、調子よく来ていたのですが、ここに来て、大変なことになります。


光電効果の実験は、「光が波だ」と考えると説明が出来ない実験結果を示すもの
として、物理学者の喉に引っかかる骨のような存在でした。

アインシュタインは、「光は粒子的にエネルギーをやり取りする」と仮定すれば、
実験結果をスッキリと説明できることを示しました。


光電効果の実験は、すっきりと説明できたのですが、
ここで困ってしまう事態になりました。

 

「光ってどんなものなんだ?」

 

ヤングの実験も、マクスウェルの方程式も、光電効果の実験も、
どれも事実なのです。

それらをすべて包括する「光」とは。。。。


波動なのか。。。
粒子なのか。。。

それとも。。。



二項対立を超えて新しい地平を切り開け

僕だけでなく、大学受験のときに微積分を使って物理を学んだ人の多くが
経験することだと思うのですが、

大学1年生で学ぶ物理が、とても簡単なのです。


最初は、たいてい力学を学びます。

微積分を導入して、力学を再構築していきましょうという内容なので、
すでにその作業を終えてしまっている身としては、
授業で言っていることは当たり前だし、
試験の問題は、勉強しなくても解けるし、
周りの同級生からは尊敬のまなざしで見られるし、
頼られたりするし。。。

と、とても快適な状態になるわけです。

でも、気をつけないと、ここに落とし穴があり、

「あまり勉強をしなくても、物理はできる」

と、勘違いしてしまったりするんです。
(僕も、してました。)

それでも、物理の基本的な考え方が身についているので、

大学2年生までは、試験2週間前あたりから、勉強をはじめて、
友人の間でまわっている、誰が書いたのか分からない授業ノートを見ながら、
ウンウン考えていると、それなりに理解できて、
成績も維持できます。

ところが、3年生になると、突然、それが通用しなくなりました。

その科目は、

  「量子力学」


教科書を読んでも、ノートのコピーを見ても分からず、
今までの勉強の仕方が全く通用しませんでした。

単位は何とか取りましたが、
全く理解できないことがショックでした。

数式を見ても、

そもそも、なぜこのような式が立てられるのか?
なぜ、こんな計算をしようとするのか?
計算結果の式が、何を表しているのか?

など、頭の中に「???」が渦巻いて、
前へ進めないのです。


その後、何年間か、苦手意識を引きずったまま過ごし、
あるとき、思い立って一から勉強しなおしました。


すると、大学3年生のときの僕が、
なぜ分からなかったのかが、
やっと分かりました。


量子力学というのは、科学の発展の中でぶつかった大きな壁を、
今までにないやり方で超えたという話なのですが、


当時の僕は、「壁」について、よく分かっていなかったのです。


自分自身が、「壁」にちゃんとぶつかっていないのに、
その解決法を学んでも仕方が無かったのです。


前期量子論と呼ばれる「粒子性」と「波動性」に関する理論を、
時系列に沿って学んでいって、はじめて自分のものとして疑問を
感じることが出来るようになりました。

歴史をたどって、ようやく僕も「壁」にぶつかることが出来たのです。

そして、そのあとに登場した「量子力学」の衝撃を、
やっと感じることが出来ました。


前期量子論を学んだことは、物理を学ぶ方法として、
歴史をたどることの重要性を知ることが出来た点で役立ちました。


物理は、人間が、あれやこれや壁にぶつかりながら、
試行錯誤して作ってきたものなんだなぁと、
思えるようになりました。


量子力学を学ぶのは、それなりに準備が必要ですが、

「前期量子論」は、高校数学だけで学ぶことが出来ます。

次号では、前期量子論のストーリーを書いてみようと思います。



2008年03月12日

カオス-新しい科学をつくる

大学4年のときに、早稲田の大槻研で卒業論文を書くことになりました。

その年の大槻研のゼミがザフラススキー著「カオス」を読むということで、4年生はこの本の内容を順番に発表しなくてはならないとのこと。

3人で集まって勉強するものの、その難解さに跳ね返されて、なかなか進めません。

とりあえず「カオス」って何だ?ということで、簡単な本を読んでみようと思って読んでみたのがこの本。

それ以来、すっかりカオスの魅力に取り付かれてしまい、複雑系を専門的に学ぶことになり、大槻研からも移ることになりました。

そんな思い出の本です。

物理が分からない人でも楽しめます。

 

いつか、カオス理論のPCレター講座を作りたいなぁ。

(誰か受けてくれる人いるかなぁ?)

 



2008年02月24日

その他の資格試験



2008年02月22日

「型」で理解するということ

高校の勉強の中で、最初に「型で理解する」という経験をするのは、
数列で登場する「漸化式」です。


a(1)=2, a(n+1)=a(n)+3

などという式が与えられると、この式を、

a(1)=2 → 最初の数が2で、
a(n+1)=a(n)+3 → 次の数は、前の数に3を加えたものにする。

と解釈して、「等差数列」と呼ばれる数列なんだと理解します。


また、

a(1)=3, a(n+1)=2a(n)

という式を見ると、

a(1)=3 → 最初の数が3で、
a(n+1)=2a(n) → 次の数は、前の数に2をかけたもののにする。

と解釈して、「等比数列」と呼ばれる数列なんだと理解します。


漸化式には、等差数列、等比数列などの型があり、それぞれ、
違った解き方があります。

複雑な漸化式も、式変形や置き換えによって、等差数列や
等比数列に帰着させて解きます。


漸化式を解くときの頭の使い方は、

(1)漸化式を立てる。
(2)漸化式が、どの型なのか判別する。
(3)判別した型に応じた解法で解く。

といった感じです。

実は、この頭の使い方は、物理も同じです。

力学の原理である運動方程式は、「微分方程式」と呼ばれる数式です。
これは、「漸化式」の親戚といってもよい数式で、漸化式と共通点が
たくさんあります。

力学の頭の使い方は、次のようになります。

(1)運動方程式を立てる。
(2)運動方程式が、どの型なのか判別する。
(3)判別した型に応じた解法で解く。

高校物理に登場する微分方程式の型は、何種類あると思いますか?

10種類?
20種類?


いえいえ、そんなに多くありません。


たったの3種類です。

僕は、この3種類に

「放物運動型」
「終端速度型」
「単振動型」

と名前をつけて、普段は、「微分方程式」という名前を表に出さずに、
授業をしています。

でも、これは、実は微分方程式としての分類です。


大学に入ると、微分方程式の解法を鍛えます。

そうすると、今まで、運動方程式は立てられるけれど、解けなかった問題の
解が分かるようになります。

こんな風に、「型」で分類しながら高校物理を勉強していくと、
大学に入って、微分方程式の解法を勉強したときに、その意義をよく理解
することができて、スムーズに物理を勉強することができます。


公式を暗記して数値を当てはめていくようなやり方とは違い、

高校から大学へ、一本の道を描くことができます。

 

「型」による分類は、物理を学ぶ上で、とても大切な考え方なんですよ。



tahara_phys at 20:26トラックバック(0)  この記事をクリップ!

高次元では1つ

2次元人の平田アルファさんは、空に浮かぶ円形の物体について調べていました。

この円はあるときは大きくなり、あるときは小さくなり、ときどき消滅したり
しています。

「この円の運動には、どのような法則が成り立っているのか?」

平田さんは、半径と時間の関係をずっと調べていました。

 

別の平面に住む2次元人の面田ベータさんは、空に浮かぶ三角形の物体について
調べていました。

この三角形は、大きさを変えずに前後に移動します。

面田さんは、前後の移動の周期をずっと調べています。

 

あるとき、平田さんと面田さんが、平面の交線で会って、話をしました。

「僕は、半径の変化する円について調べているんだよ」
「私は、前後に動く三角形について調べているんだよ」

 

それを見ていた3次元人の立田さん。

「平田、面田さん、2人が見ているのは同じ物体だよ。
 円錐の形をした立体が、前後に動いているんだよ。」


というわけで、平田さんの見つけた法則と、面田さんの見つけた法則は、
3次元の円錐の運動という一つの法則にまとめられたのでした。

 

それを見ていた4次元人の蝶田さん。

「実は、その円錐は、4次元超立体の断面なんだけどね。」

 

◆たとえ話終了◆

点(0次元)は、線(1次元)の断面です。
線(1次元)は、面(2次元)の断面です。
面(2次元)は、立体(3次元)の断面です。

そして、

立体(3次元)は、超立体(4次元)の断面です。

これは、5,6,7次元と、いくらでも拡張可能です。


高次元では、低次元で別のものだと思っていたものが、同じものの違う
側面であるというように見なせる場合があります。

また、低次元ではぐちゃぐちゃに見えていたものが、高次元では、
きれいな規則性を持っているものに見えることもあります。

物理学は、自然現象の背後にある規則性を見つけていく学問です。

もっとシンプルに、もっとシンプルに。。と追求していって、
「すべての現象は、この1つの法則で説明できる」と
言いたいのです。

そんな究極の法則を手に入れたいのです。

 

そのためには、次元の拡張が不可欠です。

4つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)は、次元を拡張していくことで、
一つの法則の、別の側面と見なせることができる可能性があります。

今のところ、電磁気力と強い力、弱い力は統合することができています。

残る重力だけは、まだ、統合できていません。

次元をどのように拡張したら、重力も含めて、「同じ法則の別の側面」
と言えることができるのか!

それが課題です。



どっちが動いているの?(3)

前号で書いた問題について、説明します。

電車に乗っている何太郎君と勘太郎君が、電車(地球号)と地面のどちらが動いて
いるのかをどうやったら知ることができるのかについてしゃべっています。

----------- たとえ話の一部-----------------------------------------------
何:でも、もしだよ。
  僕たちがこの地球号で生まれ育っているとするよ。
  そして、目的地に着く前に僕たちの寿命は尽きてしまうとするよ。
  地球号には、一定の強さでブレーキが踏まれているとするとどうだろう?

勘:どちらかが加速度運動をしているということは、景色が等速で動いて
  いないから分かるんだね。

何:でも、、一定の強さでブレーキが踏まれているから、よろけることもない。。

勘:つまり、どっちが減速しているかは分からないんだね。

----------- たとえ話の一部-----------------------------------------------

これについて、前号のメルマガでは、いただいたメールを引用して、
みなさんと一緒に考えました。

----------  前号のメルマガより ------------------------------------------
> 勘:つまり、どっちが減速しているかは分からないんだね。

  減速=加速度運動している方は非慣性系になるわけですから、どちらが減速して
 いるかどうか分かるのでは?

 (田原)これをもうちょっと考えてみたいです。

 電車が等加速度運動をしているとします。電車の中にいる人にとっては、
 進行方向へ一定の慣性力を感じるとします。

 天井のつり革は、一定の角度で前方に傾いて静止していることでしょう。

 このとき、電車に乗っている人が次のように考えたとします。

 (1)電車が加速度運動をしている。
 (2)電車の床が傾いている。

 この2つを区別するにはどうしたらよいでしょうか?

----------  前号のメルマガより ------------------------------------------

この問いに関する僕の考えです。

(1)と(2)は区別できないと思います。

互いに等速直線運動をする座標系は、同じ運動方程式に従います。

互いに加速度運動をする座標系は、同じ運動方程式に従わず、慣性力の分だけ
運動方程式が異なってしまいます。

ただ、その場合でも、どちらが慣性系で、どちらが非慣性系というふうに
特定できるわけではなく、一方から見ると、他方が加速度運動しているように見える
という相対的な問題だと思います

(別の考えをお持ちの方、メールくださいね。)

「物理法則が一般的であるのなら、誰から見ても同じ形になるはずだ!」
と考えると、ニュートン力学は、互いに等速直線運動をする人同士では、
同じ法則に従いますが、互いに加速度運動をしている人同士では、法則が
一致しません。

この困難を克服し、互いに加速度運動する人同士が、同じ運動法則に従うため
には、どのような法則だったらよいのかを考えて作ったのが、一般相対性理論です。



どっちが動いているの?(2)

115号では、「慣性の法則」をテーマにしました。

慣性の法則とは、

 力のはたらいていない物体の運動は、静止、または、等速直線運動である。

というものです。


ここで、素朴な疑問が生じます。

「誰から見て静止なんだろう?」

 

この疑問に対して、身近な問題を題材にして、自分の頭で考えてみませんか?

正解を得るを焦らずに、一度、自分であれやこれやと考えてみてください。

出来上がった科目としての「物理」を学ぶのではなく、
「物理する」という行為をしてみませんか?


というわけで、その題材を提供したかったのですが、説明不足で誤解を招き、
すみませんでした。

まずは、115号掲載のたとえ話から、どこに問題があるのか、いっしょに
考えてみましょう。

-------------------- どっちが動いているの? ---------------------------


寝台特急「地球号」に乗っていた何太郎君は、後ろに流れていく景色を見て、
ふと思って、友達の勘太郎君に言いました。

「もしかして、僕たちが止まっていて、周りが後ろに動いているんじゃないか」

勘:いいじゃないか。そのときは、目的地が向こうから来てくれるだけだろ。
  どっちにしろ着くのだから困らないよ。

  相対的な問題だから、こっちから見れば向こうが動いている。
  向こうから見れば、こっちが動いている。

何:でも、全く同じなのかな?
  僕たちが進んでいるのと、目的地がこっちに来ているのと。

勘:慣性の法則で考えればいいんじゃないか。
  力がはたらいていない物体は等速直線運動をするんだよね。

  目的地に着くときは、どっちかが止まるんだから、そのとき減速したほうが
  動いていたんだよ。

何:もし、僕たちが動いていたとしたら、電車が減速しても、僕たちは、
  進み続けようとするから、前へよろけるというわけか。

勘:地面の方が動いていたとしたら、地面のほうが減速するので、
  地面に立っている人がみんなよろけるのさ。
  それで分かるよ。

何:でも、もしだよ。
  僕たちがこの地球号で生まれ育っているとするよ。
  そして、目的地に着く前に僕たちの寿命は尽きてしまうとするよ。
  地球号には、一定の強さでブレーキが踏まれているとするとどうだろう?

勘:どちらかが加速度運動をしているということは、景色が等速で動いて
  いないから分かるんだね。

何:でも、、一定の強さでブレーキが踏まれているから、よろけることもない。。

勘:つまり、どっちが減速しているかは分からないんだね。


結論が出なくなってしまったので、2人とも寝ることにした。

「明日になって、目的地に着けば、どっちが動いているのかわかるね。」

 

朝になりました。

二人が目を覚ましたときには、すでに地球号は目的地に着いて止まっていました。


------------------- たとえ話はここまで ---------------------------------

メールでいただいた問題点は次のようなものでした。


> 目的地に着くときは、どっちかが止まるんだから、そのとき減速したほうが
> 動いていたんだよ。

 減速とは、最初から大地を基準にした座標系からの記述なのではないか。
「減速」なのか「加速」なのかは座標系を決めないかぎり決まらないのではないか。


(田原)問題設定があいまいでした。

 一方の質量が一方に比べて十分に大きく、質量の大きいほうの物体は、
 近似的に等速直線運動をしていると見なせるとします。

 つまり、その物体に固定した座標系は、慣性系と見なせるものとします。

 問題設定を、

 「地球」と「電車」のどちらかが一方の質量が、他の一方に比べて十分に
 大きく、どちらか一方に固定した座標系は慣性系と見なせる。

 ということにします。

> 目的地に着くときは、どっちかが止まるんだから、そのとき減速したほうが
> 動いていたんだよ。

  加速度が加わった方が「運動していて停止する側」と規定できるのか?

 (例)時速100キロで近づいてくる大地にたいして、ある時点でスタートして
  逃げるようにスタートして加速し始めて相対速度が0になったとき、ちょうど
  駅がやってきていたとすれば運動の記述としてはOKになってしまいうのでは?


(田原)確かに、座標系に対してある制限を与えなければ、(例)のような
 ことも可能になってしまいますね。

 座標系を「地球」「電車」のどちらかに固定するという制限を与えて、
 「減速」=相対速度が減少する というように意味を制限すればよいでしょうか。


> 勘:つまり、どっちが減速しているかは分からないんだね。

  減速=加速度運動している方は非慣性系になるわけですから、どちらが減速して
 いるかどうか分かるのでは?

 (田原)これをもうちょっと考えてみたいです。

 電車が等加速度運動をしているとします。電車の中にいる人にとっては、
 進行方向へ一定の慣性力を感じるとします。

 天井のつり革は、一定の角度で前方に傾いて静止していることでしょう。

 このとき、電車に乗っている人が次のように考えたとします。

 (1)電車が加速度運動をしている。
 (2)電車の床が傾いている。

 この2つを区別するにはどうしたらよいでしょうか?

 


今回は、とても興味深く、生産的なご意見をいただきました。
たとえ話といえども、設定を、もっとちゃんとしなくてはと思いました。

よい機会ですから、座標系について、掘り下げて考えたいと思います。
みなさんも、よろしければ「自分はこう考える」というメールを送ってください。

素朴な疑問、自由なご意見、お待ちしています。

面白い意見には、匿名またはハンドル名で引用させてくださいね。



今なら無料で受けられる
10講座

物理ネット予備校
最新の記事
メルマガ
メルマガ登録・解除
楽しい《たとえ話》で直観的に分かる物理の考え方
   
バックナンバー
powered by まぐまぐトップページへ
ブログランキング
こちらのランキングで上位進出を狙います!
クリックをよろしくお願いいたします!
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 
人気ブログランキング にほんブログ村 科学ブログへ
カテゴリー
本を出版しました!





読者の方の感想です!
自己紹介
田原@予備校講師
はじめまして。

「微積で楽しく高校物理が分かる本」著者の田原真人です。

田原のプロフィールはこちらです。

このサイトは、メールマガジン「楽しい《たとえ話》で直感的に分かる物理の考え方」の記事をもとに作成しています。これは、現在、3300人以上の方が読者登録をされ、まぐまぐで「殿堂入り」した、大人気メルマガです。

読者の方から、「以前に配信されたメルマガも読みたい」という声があり、このサイトをつくりました。


物理ネット予備校公式ページへ
リンク集
物理おすすめ問題集
最新のトラックバック
Archives
livedoor Readerに登録
RSS
livedoor Blog(ブログ)

[PR] 物理予備校| 物理学習| 予備校講師 参考書| センター試験平均点| 理科総合| 理科総合学習| 医学部再受験| 子供 絵本|