2005年07月22日
物理の神様の願い
「物理の神様」という神様がいました。
この神様は、人間の中に自分のことを分かってくれる人が現れることを願っていました。
でも、神様と、人間の間には、決して埋められない溝があるのです。
神様の寿命は無限大です。
一方、人間の寿命は長くても100年やそこらです。
神様の大きさは無限大です。
一方、人間の大きさは、大きくても2メートルやそこらです。
神様の知性は無限大です。
一方、人間の知性は、たかだか数兆個の脳細胞がゆっくりと動いて実現しているのです。
有限 と 無限
この間に横たわる深い溝を越えない限り、人間は「物理の神様」のことを理解できないの
です。
です。
「物理の神様」のことを理解するぞ! と、3人の若者が名乗りをあげました。
日記を書くのが好きな都築さん
そろばんの達人であるKさん
パズルを解くのが好きなハーケンさん
そろばんの達人であるKさん
パズルを解くのが好きなハーケンさん
神様は、彼らが本気で自分を理解しようと思っているのかどうか試そうと思い、彼らの
目の前に1年周期で往復運動する、大きなばね振り子を出現させました。
都築さんは、このばね振り子を見ると、文房具屋に行き、ノートを買いました。
そして、表紙には次のように書きました。
そして、表紙には次のように書きました。
「都築の単振動日記」
それから都築さんは、毎日、毎日、おもりの位置や速度などを日記につけていきました。
そして、50年の月日が経った後で神様に言いました。
「私は、50年間、1日たりとも欠かさずにばね振り子を観察しつづけました。」
「単振動日記は500冊を超えました。」
「私は、あなたを大分わかったといえるのではないですか?」
「単振動日記は500冊を超えました。」
「私は、あなたを大分わかったといえるのではないですか?」
物理の神様は、怒った口調で言いました。
「無限の寿命を持つ私にとって、50年など限りなく0に近い時間だ」
「お前は、私を理解しようとはしていない!」
「お前は、私を理解しようとはしていない!」
都築さんは、「採点地獄」に落とされてしまいました。
そこでは、無限枚のテストの答案を採点しつづけなくてはなりません。
そこでは、無限枚のテストの答案を採点しつづけなくてはなりません。
次に挑戦したのはKさんです。
Kさんは数学を使っておもりの位置や速度を求めることにしました。
そろばんが得意なので、どんなに複雑な数式や、面倒な計算ができてきても、速く、
正しく計算できる自信があります。
振動しているばね振り子の前に立ち、位置や速度を測定すると、早速、計算し
始めました。
始めました。
単振動の振動中心の位置を気にせずに計算したので、エネルギー保存則は複雑な形になりました。
Kさんは、複雑な式をそのまま計算しようとしました。
物理の神様は、そんなKさんを見て、怒った口調で言いました。
物理の神様は、そんなKさんを見て、怒った口調で言いました。
「自分の能力を過信しすぎている。お前の計算能力の限界を、私ははるかに超えて
いるのだ」
いるのだ」
「お前は、私を理解しようとはしていない!」
Kさんは、「計算地獄」に落とされてしまいました。
そこでは、単に複雑なだけの計算問題を毎日解きつづけなければなりません。
そこでは、単に複雑なだけの計算問題を毎日解きつづけなければなりません。
最後に挑戦したハーケンさんは、規則を発見することにしました。
最初の1年間は、ばね振り子の振動の様子を観察しつづけました。
次の1年間の観察で、同じ運動がくり返されているのではないかという仮説を立てました。
次の1年間で、その仮説が、今のところは間違っていないということを確認しました。
ハーケンさんは、振動の中心に注目しました。
そして、運動がその中心に対して対称であることを発見しました。
そして、運動がその中心に対して対称であることを発見しました。
そこで、右半分の運動だけをもう一度詳しく調べました。
左半分は、同じ運動をしているので、調べるのを止め、その分、右半分を調べることに
全力をあげたのです。
左半分は、同じ運動をしているので、調べるのを止め、その分、右半分を調べることに
全力をあげたのです。
そして、ハーケンさんは、神に呼びかけました。
「物理の神様、私は分かりました。」
「私には、あなたを理解することはできないということが分かりました。」
「私には、あなたを理解することはできないということが分かりました。」
「私にできるのは、物理の神様はもしかしたらこうなのではないかという予想と、私が
生きている限りでは、その予想が間違っていなかったという確認だけです。」
生きている限りでは、その予想が間違っていなかったという確認だけです。」
「でも、もし、無限のあなたを有限の私が理解できるとしたら、あなたに潜む周期性や
対称性を発見して、それが間違っていなかった場合だけです。」
対称性を発見して、それが間違っていなかった場合だけです。」
「けれども、私には、発見した規則が正しいのか間違っているのかを知るすべは
ありません。 正しいことを祈るだけです。」
ありません。 正しいことを祈るだけです。」
物理の神様は、ハーケンさんの言葉に満足し、1つの箱を渡して言いました。
「これを決して開けてはならないぞ。」
「これを決して開けてはならないぞ。」
でも、そう言われると開けてしまうのが人間の性。
ハーケンさんが箱を開けると、中には気体が入っていて、外へ飛び出して拡散してしまいました。
ハーケンさんが箱を開けると、中には気体が入っていて、外へ飛び出して拡散してしまいました。
神様がハーケンさんにくれたのは、「理想気体」だったのです。
★たとえ話終了★
前回の伏字の答です。
(無限の自然を理解するためには、)
「さっさと、〇〇を□□いて、カレーを食べに出かけなくてはならないのです。」
「さっさと、〇〇を□□いて、カレーを食べに出かけなくてはならないのです。」
〇〇には、規則、または、法則
□□には、見ぬ
□□には、見ぬ
が入ります。高校物理で扱う単振動は、周期性や対称性が現れる運動です。
この運動を学ぶときには、なぜ、周期性や対称性が重要なのかを考えて欲しい!
この運動を学ぶときには、なぜ、周期性や対称性が重要なのかを考えて欲しい!
有限の私が、無限の自然を理解するためには、こつこつ計算して調べ上げていく
だけではダメで、どこかで規則を見抜いて、情報を圧縮しなくてはならないのです。
だけではダメで、どこかで規則を見抜いて、情報を圧縮しなくてはならないのです。
そのための、周期性であり、対称性なのです。
最大限に利用して、問題を解きましょうね。
最大限に利用して、問題を解きましょうね。


