2007年09月13日
究極の物質「原子」を探せ!
「この宇宙」には、すべての物質の運動を決定する「ウンホウテイ」という
究極の原理が存在した。
ウンホウテイを使えば、物質の質量、物質にはたらく力、初期条件から、、
その物質が、これからどのように動いていくかを計算することができるのだ。
ただし、計算することさえできれば。。。
宇宙世紀4344年、スーパーコンピューター「ラプラス」が完成した。
質量、力、初期条件をラプラスに入力すれば、未来を計算することができる
ようになった。
未来省の大臣、ブン・セキは、演説でこう言った。
「みなさん、ついにわれわれは、計算能力を手に入れました。」
「後は、物質をこれ以上分割できなくなるまで分割していき、その結果として
現れる究極の粒子の質量、力、初期条件をラプラスに入力するだけです!」
「科学省が、近いうちに、究極の粒子の存在を明らかにしてくれるはずです!」
「そのとき、われわれの未来は、われわれに理解可能になり、全ての問題は、
解決するのです!!!」
「究極粒子プログラムの実現に向けて、全力を傾けていきましょう!」
1年後、科学省の大臣、東郷は、演説した。
「みなさんにうれしいお知らせと残念なお知らせが1つずつあります。」
「まず、うれしいお知らせからです。」
「究極の粒子の姿が、明らかになりました。」
パチ、パチ、パチ、パチ!(大きな拍手)
「次に、残念なお知らせです。」
「その粒子は、ウンホウテイに従っていないようなのです。」
すべての物質が、ウンホウテイにしたがっているという前提に立っていた
究極粒子プログラムは、最後の最後で、根底から覆されたのであった。
◆◆たとえ話終了◆◆
原子の構造を明らかにすることは、自然を要素に還元して、分析と統合の手法
によって理解するというストーリーにとって、不可欠でした。
究極の粒子の候補として、原子は、重要な役割を期待されていました。
原子の構造は、力学と電磁気学の枠組みの中で理解可能であり、その姿が、
いつかは明解な形で理解されるものだと信じられていたと思います。
ところが、ラザフォードの実験により、原子核は原子の大きさに比べて
とても小さいことが分かり、
「小さい原子核と、そのまわりを運動する電子」
という原子像が描かれると、物理学者はとても困ってしまったのです。
力学と電磁気が正しいなら、原子核の周りを回る電子は、加速度運動を
しながら電磁波を出し、エネルギーを失って原子核へと落ち込んで
しまうはずなのです。
この宇宙には、安定に存在する原子など、存在できないはずなのです。
ところが、実際には、多くの原子は安定に存在する。
この危機をのりこえるために、量子力学が誕生しました。
が、
それは、
「この世界は、究極の粒子の運動によって理解できる」
というストーリーの放棄でもありました。
要素還元主義によって自然を理解しようとしていた人間は、もう少しで、
その手に、究極の理解を手にするかと思いました。
けれども、最後の最後で、自然は、人間の手からするりと逃げていってしまった
のでした。
<参考リンク>大学受験学習マニュアル


