たとえ話で語る物理
2008年04月29日
一次元さんお断り
坂道を登りきったところに、その料亭はあった。
創業200年の老舗であり、その門構えには見る人を圧倒させる威圧感があった。
その威圧感をさらに強めているのが、
門の中央に立っている小さな立て札であり、
そこには、
「一次元さんはお断り!」
という文字が書いてあった。
風雨にさらされ、消えかかったその文字が示す「一次元さん」
その意味が、分からないものにとっては、
「お断り」の文字だけが意味のある記号として訴えかけてくる。
この料亭は、こうやって、大勢の人間に門前払いをくらわせ、
200年間もの間、一部の人間にとっての憩いの場を確保してきたのだろう。
さて、その料亭の前を、好奇心の強い男、面堂さんが通りかかった。
「なんだい?一次元さんっていうのは?」
「どうせ断られるんだろうけど、何ていって断られるのか興味があるな。」
「ちょっと入ってみるか」
仲居:お客様、申しわけございませんが、こちらは、一次元さんお断りと
なっておりますが。。。
面堂:知っているさ。私は決して一次元さんではないですよ。
仲居:お客様、では、確認させていただいてもよろしいでしょうか?
面堂:(どうやって、確認するのかな、これで、一次元さんの招待がわかるぞ)
仲居:それでは、こちらにどうぞ。
門の後ろにある小部屋には、振幅10cm、周期12秒で左右に震動する
ばね振り子があった。
仲居:おもりが原点を通過してから、距離5cm進むまでの時間をお答え
ください。
これは、当店で200年間行っている確認方法ですので、失礼をお許し
ください。
面堂:1往復は12秒なんだから、10cm進むのが四分の一の3秒か。。。。
5cm進むのは、その半分だから。。。1.5秒???
でも、まてよ。1次元さんというのは、どういう意味だろう?
仲居:1分以内にお答えいただけない場合は、1次元さんでしたということで、
お帰りいただきます。
面堂:(困ったな。。。何かヒントは??)
面堂さんがあたりを見回すと、
「点は0、直線は1、平面は2、立体は3、思考は4を超える!」
と書いた掛け軸が目に入った。
そうか、1次元さんとは、直線上で考えているということか?
では、2次元(平面)で考えるとどうなるのか??
面堂さんは、振幅10cm、周期4秒の往復運動の代わりに、
半径10cm、周期12秒の等速円運動を考えた。
目の前の往復運動を、円運動の直線に映った影として捉えたのだ。
仲居:「あと10秒です。お答えください」
面堂:(影が5cm進むとき、円運動は60度回転しているから。。)
12×60/360=2秒!
仲居:おめでとうございます。お客様は1次元さんでないことが、
分かりましたので、こちらにお入りください。
面堂さんは、とても爽快な気持ちで、仲居の後をついていった。
そこには、もう一つ、門があり、仲居に続いて通ろうとすると、
仲居:「あ!こちらをお読みください!」
仲居の指し示した先には、古びた立て札があり、そこには、こう書いてあった。
「2次元さん、お断り!」
二項対立を超えて新しい地平を切り開け(2)
「光とは、波動なのか粒子なのか?」
前期量子論のストーリーの最初は、この問題について、物理学者が、
どのように考えて、どのように解決してきたのかを学びます。
結論は、
「光は、波動の性質と粒子の性質の両方を持つ」
ということになるのですが、はじめは、これがなかなか理解できないわけです。
「粒子っていうのは、パチンコ玉のようなヤツでしょ。」
「波動っていうのは、水面波みたいなヤツでしょ。」
なんて考えると、「両方の性質を持つ」という言葉で頭が破綻してしまい
ますよね。
だいたい、粒子が進んでくるときには、パチンコ玉みたいなモノが、
ビューっと飛んでくるわけだし、
波が伝わってくるときには、サッカー場に発生するウェーブのように、
運動状態だけが伝わっていくわけで、
これの「両方の性質を持つ」といってしまうのは簡単だけど、
イメージするのは難しいです。
頭の中では、
「どっちなんだ???」
「光は波なのか?」
「粒子なのか?」
という粒子と波動の2つの分類のどちらかに光を振り分けようとして、
振り分けられずに混乱するのです。
歴史的にも、光は、粒子と波動の合間を揺れ動いてきました。
ニュートンは、日光によってできる影の輪郭がくっきりしていることを根拠に、
「光は粒子だ!」と主張しました。
波動だとすると、回折するので輪郭がぼやけるはずだというのです。
ヤングは、光は波長が短い波なので回折しにくいだけだと考え、間隔の狭い
スリットを用いれば干渉縞ができることを実験によって示しました。
これが、ヤングの実験です。
ヤングの実験によって、「光は波だ!」ということになりました。
マクスウェルは、電磁気の基本方程式の解として、電磁波が現れることを
示しました。電磁波の速度が光速Cであることから、「光は電磁波だ!」と
考えられるようになりました。
ここまでは、調子よく来ていたのですが、ここに来て、大変なことになります。
光電効果の実験は、「光が波だ」と考えると説明が出来ない実験結果を示すもの
として、物理学者の喉に引っかかる骨のような存在でした。
アインシュタインは、「光は粒子的にエネルギーをやり取りする」と仮定すれば、
実験結果をスッキリと説明できることを示しました。
光電効果の実験は、すっきりと説明できたのですが、
ここで困ってしまう事態になりました。
「光ってどんなものなんだ?」
ヤングの実験も、マクスウェルの方程式も、光電効果の実験も、
どれも事実なのです。
それらをすべて包括する「光」とは。。。。
波動なのか。。。
粒子なのか。。。
それとも。。。
二項対立を超えて新しい地平を切り開け
僕だけでなく、大学受験のときに微積分を使って物理を学んだ人の多くが
経験することだと思うのですが、
大学1年生で学ぶ物理が、とても簡単なのです。
最初は、たいてい力学を学びます。
微積分を導入して、力学を再構築していきましょうという内容なので、
すでにその作業を終えてしまっている身としては、
授業で言っていることは当たり前だし、
試験の問題は、勉強しなくても解けるし、
周りの同級生からは尊敬のまなざしで見られるし、
頼られたりするし。。。
と、とても快適な状態になるわけです。
でも、気をつけないと、ここに落とし穴があり、
「あまり勉強をしなくても、物理はできる」
と、勘違いしてしまったりするんです。
(僕も、してました。)
それでも、物理の基本的な考え方が身についているので、
大学2年生までは、試験2週間前あたりから、勉強をはじめて、
友人の間でまわっている、誰が書いたのか分からない授業ノートを見ながら、
ウンウン考えていると、それなりに理解できて、
成績も維持できます。
ところが、3年生になると、突然、それが通用しなくなりました。
その科目は、
「量子力学」
教科書を読んでも、ノートのコピーを見ても分からず、
今までの勉強の仕方が全く通用しませんでした。
単位は何とか取りましたが、
全く理解できないことがショックでした。
数式を見ても、
そもそも、なぜこのような式が立てられるのか?
なぜ、こんな計算をしようとするのか?
計算結果の式が、何を表しているのか?
など、頭の中に「???」が渦巻いて、
前へ進めないのです。
その後、何年間か、苦手意識を引きずったまま過ごし、
あるとき、思い立って一から勉強しなおしました。
すると、大学3年生のときの僕が、
なぜ分からなかったのかが、
やっと分かりました。
量子力学というのは、科学の発展の中でぶつかった大きな壁を、
今までにないやり方で超えたという話なのですが、
当時の僕は、「壁」について、よく分かっていなかったのです。
自分自身が、「壁」にちゃんとぶつかっていないのに、
その解決法を学んでも仕方が無かったのです。
前期量子論と呼ばれる「粒子性」と「波動性」に関する理論を、
時系列に沿って学んでいって、はじめて自分のものとして疑問を
感じることが出来るようになりました。
歴史をたどって、ようやく僕も「壁」にぶつかることが出来たのです。
そして、そのあとに登場した「量子力学」の衝撃を、
やっと感じることが出来ました。
前期量子論を学んだことは、物理を学ぶ方法として、
歴史をたどることの重要性を知ることが出来た点で役立ちました。
物理は、人間が、あれやこれや壁にぶつかりながら、
試行錯誤して作ってきたものなんだなぁと、
思えるようになりました。
量子力学を学ぶのは、それなりに準備が必要ですが、
「前期量子論」は、高校数学だけで学ぶことが出来ます。
次号では、前期量子論のストーリーを書いてみようと思います。
2008年02月22日
高次元では1つ
2次元人の平田アルファさんは、空に浮かぶ円形の物体について調べていました。
この円はあるときは大きくなり、あるときは小さくなり、ときどき消滅したり
しています。
「この円の運動には、どのような法則が成り立っているのか?」
平田さんは、半径と時間の関係をずっと調べていました。
別の平面に住む2次元人の面田ベータさんは、空に浮かぶ三角形の物体について
調べていました。
この三角形は、大きさを変えずに前後に移動します。
面田さんは、前後の移動の周期をずっと調べています。
あるとき、平田さんと面田さんが、平面の交線で会って、話をしました。
「僕は、半径の変化する円について調べているんだよ」
「私は、前後に動く三角形について調べているんだよ」
それを見ていた3次元人の立田さん。
「平田、面田さん、2人が見ているのは同じ物体だよ。
円錐の形をした立体が、前後に動いているんだよ。」
というわけで、平田さんの見つけた法則と、面田さんの見つけた法則は、
3次元の円錐の運動という一つの法則にまとめられたのでした。
それを見ていた4次元人の蝶田さん。
「実は、その円錐は、4次元超立体の断面なんだけどね。」
◆たとえ話終了◆
点(0次元)は、線(1次元)の断面です。
線(1次元)は、面(2次元)の断面です。
面(2次元)は、立体(3次元)の断面です。
そして、
立体(3次元)は、超立体(4次元)の断面です。
これは、5,6,7次元と、いくらでも拡張可能です。
高次元では、低次元で別のものだと思っていたものが、同じものの違う
側面であるというように見なせる場合があります。
また、低次元ではぐちゃぐちゃに見えていたものが、高次元では、
きれいな規則性を持っているものに見えることもあります。
物理学は、自然現象の背後にある規則性を見つけていく学問です。
もっとシンプルに、もっとシンプルに。。と追求していって、
「すべての現象は、この1つの法則で説明できる」と
言いたいのです。
そんな究極の法則を手に入れたいのです。
そのためには、次元の拡張が不可欠です。
4つの力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)は、次元を拡張していくことで、
一つの法則の、別の側面と見なせることができる可能性があります。
今のところ、電磁気力と強い力、弱い力は統合することができています。
残る重力だけは、まだ、統合できていません。
次元をどのように拡張したら、重力も含めて、「同じ法則の別の側面」
と言えることができるのか!
それが課題です。
どっちが動いているの?(3)
前号で書いた問題について、説明します。
電車に乗っている何太郎君と勘太郎君が、電車(地球号)と地面のどちらが動いて
いるのかをどうやったら知ることができるのかについてしゃべっています。
----------- たとえ話の一部-----------------------------------------------
何:でも、もしだよ。
僕たちがこの地球号で生まれ育っているとするよ。
そして、目的地に着く前に僕たちの寿命は尽きてしまうとするよ。
地球号には、一定の強さでブレーキが踏まれているとするとどうだろう?
勘:どちらかが加速度運動をしているということは、景色が等速で動いて
いないから分かるんだね。
何:でも、、一定の強さでブレーキが踏まれているから、よろけることもない。。
勘:つまり、どっちが減速しているかは分からないんだね。
----------- たとえ話の一部-----------------------------------------------
これについて、前号のメルマガでは、いただいたメールを引用して、
みなさんと一緒に考えました。
---------- 前号のメルマガより ------------------------------------------
> 勘:つまり、どっちが減速しているかは分からないんだね。
減速=加速度運動している方は非慣性系になるわけですから、どちらが減速して
いるかどうか分かるのでは?
(田原)これをもうちょっと考えてみたいです。
電車が等加速度運動をしているとします。電車の中にいる人にとっては、
進行方向へ一定の慣性力を感じるとします。
天井のつり革は、一定の角度で前方に傾いて静止していることでしょう。
このとき、電車に乗っている人が次のように考えたとします。
(1)電車が加速度運動をしている。
(2)電車の床が傾いている。
この2つを区別するにはどうしたらよいでしょうか?
---------- 前号のメルマガより ------------------------------------------
この問いに関する僕の考えです。
(1)と(2)は区別できないと思います。
互いに等速直線運動をする座標系は、同じ運動方程式に従います。
互いに加速度運動をする座標系は、同じ運動方程式に従わず、慣性力の分だけ
運動方程式が異なってしまいます。
ただ、その場合でも、どちらが慣性系で、どちらが非慣性系というふうに
特定できるわけではなく、一方から見ると、他方が加速度運動しているように見える
という相対的な問題だと思います
(別の考えをお持ちの方、メールくださいね。)
「物理法則が一般的であるのなら、誰から見ても同じ形になるはずだ!」
と考えると、ニュートン力学は、互いに等速直線運動をする人同士では、
同じ法則に従いますが、互いに加速度運動をしている人同士では、法則が
一致しません。
この困難を克服し、互いに加速度運動する人同士が、同じ運動法則に従うため
には、どのような法則だったらよいのかを考えて作ったのが、一般相対性理論です。
どっちが動いているの?(2)
115号では、「慣性の法則」をテーマにしました。
慣性の法則とは、
力のはたらいていない物体の運動は、静止、または、等速直線運動である。
というものです。
ここで、素朴な疑問が生じます。
「誰から見て静止なんだろう?」
この疑問に対して、身近な問題を題材にして、自分の頭で考えてみませんか?
正解を得るを焦らずに、一度、自分であれやこれやと考えてみてください。
出来上がった科目としての「物理」を学ぶのではなく、
「物理する」という行為をしてみませんか?
というわけで、その題材を提供したかったのですが、説明不足で誤解を招き、
すみませんでした。
まずは、115号掲載のたとえ話から、どこに問題があるのか、いっしょに
考えてみましょう。
-------------------- どっちが動いているの? ---------------------------
寝台特急「地球号」に乗っていた何太郎君は、後ろに流れていく景色を見て、
ふと思って、友達の勘太郎君に言いました。
「もしかして、僕たちが止まっていて、周りが後ろに動いているんじゃないか」
勘:いいじゃないか。そのときは、目的地が向こうから来てくれるだけだろ。
どっちにしろ着くのだから困らないよ。
相対的な問題だから、こっちから見れば向こうが動いている。
向こうから見れば、こっちが動いている。
何:でも、全く同じなのかな?
僕たちが進んでいるのと、目的地がこっちに来ているのと。
勘:慣性の法則で考えればいいんじゃないか。
力がはたらいていない物体は等速直線運動をするんだよね。
目的地に着くときは、どっちかが止まるんだから、そのとき減速したほうが
動いていたんだよ。
何:もし、僕たちが動いていたとしたら、電車が減速しても、僕たちは、
進み続けようとするから、前へよろけるというわけか。
勘:地面の方が動いていたとしたら、地面のほうが減速するので、
地面に立っている人がみんなよろけるのさ。
それで分かるよ。
何:でも、もしだよ。
僕たちがこの地球号で生まれ育っているとするよ。
そして、目的地に着く前に僕たちの寿命は尽きてしまうとするよ。
地球号には、一定の強さでブレーキが踏まれているとするとどうだろう?
勘:どちらかが加速度運動をしているということは、景色が等速で動いて
いないから分かるんだね。
何:でも、、一定の強さでブレーキが踏まれているから、よろけることもない。。
勘:つまり、どっちが減速しているかは分からないんだね。
結論が出なくなってしまったので、2人とも寝ることにした。
「明日になって、目的地に着けば、どっちが動いているのかわかるね。」
朝になりました。
二人が目を覚ましたときには、すでに地球号は目的地に着いて止まっていました。
------------------- たとえ話はここまで ---------------------------------
メールでいただいた問題点は次のようなものでした。
> 目的地に着くときは、どっちかが止まるんだから、そのとき減速したほうが
> 動いていたんだよ。
減速とは、最初から大地を基準にした座標系からの記述なのではないか。
「減速」なのか「加速」なのかは座標系を決めないかぎり決まらないのではないか。
(田原)問題設定があいまいでした。
一方の質量が一方に比べて十分に大きく、質量の大きいほうの物体は、
近似的に等速直線運動をしていると見なせるとします。
つまり、その物体に固定した座標系は、慣性系と見なせるものとします。
問題設定を、
「地球」と「電車」のどちらかが一方の質量が、他の一方に比べて十分に
大きく、どちらか一方に固定した座標系は慣性系と見なせる。
ということにします。
> 目的地に着くときは、どっちかが止まるんだから、そのとき減速したほうが
> 動いていたんだよ。
加速度が加わった方が「運動していて停止する側」と規定できるのか?
(例)時速100キロで近づいてくる大地にたいして、ある時点でスタートして
逃げるようにスタートして加速し始めて相対速度が0になったとき、ちょうど
駅がやってきていたとすれば運動の記述としてはOKになってしまいうのでは?
(田原)確かに、座標系に対してある制限を与えなければ、(例)のような
ことも可能になってしまいますね。
座標系を「地球」「電車」のどちらかに固定するという制限を与えて、
「減速」=相対速度が減少する というように意味を制限すればよいでしょうか。
> 勘:つまり、どっちが減速しているかは分からないんだね。
減速=加速度運動している方は非慣性系になるわけですから、どちらが減速して
いるかどうか分かるのでは?
(田原)これをもうちょっと考えてみたいです。
電車が等加速度運動をしているとします。電車の中にいる人にとっては、
進行方向へ一定の慣性力を感じるとします。
天井のつり革は、一定の角度で前方に傾いて静止していることでしょう。
このとき、電車に乗っている人が次のように考えたとします。
(1)電車が加速度運動をしている。
(2)電車の床が傾いている。
この2つを区別するにはどうしたらよいでしょうか?
今回は、とても興味深く、生産的なご意見をいただきました。
たとえ話といえども、設定を、もっとちゃんとしなくてはと思いました。
よい機会ですから、座標系について、掘り下げて考えたいと思います。
みなさんも、よろしければ「自分はこう考える」というメールを送ってください。
素朴な疑問、自由なご意見、お待ちしています。
面白い意見には、匿名またはハンドル名で引用させてくださいね。
どっちが動いているの?
寝台特急「地球号」に乗っていた何太郎君は、後ろに流れていく景色を見て、ふと思って、友達の勘太郎君に言いました。
「もしかして、僕たちが止まっていて、周りが後ろに動いているんじゃないか」
勘:いいじゃないか。そのときは、目的地が向こうから来てくれるだけだろ。
どっちにしろ着くのだから困らないよ。
相対的な問題だから、こっちから見れば向こうが動いている。
向こうから見れば、こっちが動いている。
何:でも、全く同じなのかな?
僕たちが進んでいるのと、目的地がこっちに来ているのと。
勘:慣性の法則で考えればいいんじゃないか。
力がはたらいていない物体は等速直線運動をするんだよね。
目的地に着くときは、どっちかが止まるんだから、そのとき減速したほうが
動いていたんだよ。
何:もし、僕たちが動いていたとしたら、電車が減速しても、僕たちは、
進み続けようとするから、前へよろけるというわけか。
勘:地面の方が動いていたとしたら、地面のほうが減速するので、
地面に立っている人がみんなよろけるのさ。
それで分かるよ。
何:でも、もしだよ。
僕たちがこの地球号で生まれ育っているとするよ。
そして、目的地に着く前に僕たちの寿命は尽きてしまうとするよ。
地球号には、一定の強さでブレーキが踏まれているとするとどうだろう?
勘:どちらかが加速度運動をしているということは、景色が等速で動いて
いないから分かるんだね。
何:でも、、一定の強さでブレーキが踏まれているから、よろけることもない。。
勘:つまり、どっちが減速しているかは分からないんだね。
結論が出なくなってしまったので、2人とも寝ることにした。
「明日になって、目的地に着けば、どっちが動いているのかわかるね。」
朝になりました。
二人が目を覚ましたときには、すでに地球号は目的地に着いて止まっていました。
★たとえ話終了★
確定した学問としての「物理」を学ぶよりも、
自分の頭でいろいろと考える=「物理する」と、また違った楽しさがあります。
ガリレオ・ガリレイや、ニュートンは、何太郎くんや、勘太郎君のようなことを、
一生懸命考えたんですね。
前向きにバック転?
加部中(かべあたる)さんが、物理ネット予備校の窓口に相談に来ました。
学習相談員の莫典三(ばくてんぞう)が、対応しました。
中:40歳になって、突然「物理を勉強したい」と思いました。
でも、高校時代は文系だったし、数学もすっかり忘れています。
最近は、記憶力も落ちてきたように感じます。
自分に物理が理解できるでしょうか?
莫:初めにうかがいたいのですが、加部さんは、どうして物理を学ぼうと思ったの
ですか?
中:ホーキング博士の本を読んだんです。宇宙とか、ブラックホールとかの話に、
とても惹かれてしまいました。
でも、私は年齢も50代で、仕事に物理を使うわけでもありません。
今から物理を学ぶなんて、とてもできそうにない気がします。
莫:できないと思ってあきらめる前に、私の話を聞いてください。
私は、40歳のとき、「バック転」の練習を始めました。
名前が、「ばくてんぞう」なので、バック転ができたらおもしろいかなと思った
のがきっかけです。
家族は、「40歳のおっちゃんが、バック転なんて怪我するからやめときな」と
言いました。
中:私が家族でも止めると思います。それでどうしたのですか?
莫:まず、バック転に必要なジャンプ力と、柔軟性とを調べてみたのです。
その結果、バック転には、たいしたジャンプ力も柔軟性も必要ないことが
分かりました。
コツさえつかめば、自分でもできそうだと思いました。
中:でも、コツをつかむのが難しいんじゃないですか?
莫:はい。でも不可能じゃありません。
バック転の映像を見ながら、どうやっているのかを、よく観察しました。
中:見て、何か分かったのですか?
莫:はい。うまい人は、背中をやわらかく動かしていることに気がついたのです。
そこで、まず、背中をやわらかく動かすことを目標にしました。
中:それで、できたのですか。
莫:はい。暇さえあれば、背中をぐにゃぐにゃと動かしていましたから。。
中:この話は、物理の話と何か関係があるのですか?
莫:「難しい」と感じるものでも、相手をよく観察すると、そこへ近づくための
第一歩を見つけることができると思うのです。
中:莫さんが、「背中をやわらかく動かすこと」を始めたようにですか?
莫:そうです。
物理に感じる「難しさ」を、分解してみるとよいかもしれません。
高校数学を復習すると、難しさが減るかもしれませんし、
一般書を読んでみると、全体像がつかめて分かりやすくなるかもしれません。
中:なるほど。なんとなく「難しい」と考えて、何もしないのではなく、
難しさを減らすための行動を、一つずつやってみるということですね。
莫:そうなんです。
そうしているうちに、準備が整ってきて、「できそう!」という感覚が
出てくると思います。そのときが、チャレンジのときです。
中:莫さんも、そう感じたから、おもいっきり後ろに飛んだのですね。
莫:はい。おもいっきりいきました。
頭から落ちましたが、怪我をしないことが分かって恐怖が減りました。
何が悪かったのかも分かって、次の目標も定まりました。
中:ということは、まだ、バック転は、成功していないのですか?
莫:はい。でも、確実に成功に近づいています。
後ろにおもいっきり飛んだことで、次の段階に進むことができましたから。
中:莫さんは、本当に前向きですね。
お話を聞いていたら、私も、がんばれそうな気がしてきました。
まず、高校数学の復習から始めてみようと思います。
電車の中で、ブルーバックスの本も読んでみます。
物理ができそうな気持ちになったら、また、ここに来ますね。
莫:はい。お待ちしています。
私も、バック転に前向きに取り組んでいきたいと思います。
◆たとえ話終了◆
勉強をすると、「分からない」と感じることは多いと思います。
僕も、よく「分からない」と感じます。
でも、落ち着いて、「分からないもの」を観察すると、「分からない理由」
が見えてきます。
これが、大切な第一歩です。この時点で、9割は解決しています。
目標を切り替えて、「分からない理由」に取り組むことにします。
知識が足りないなら、知識を補いましょう。
言っていることが分からないのなら、同じことについて書いてある別の本を、
読んでみましょう。
時間はかかるかもしれませんが、確実に一歩一歩、前へ進むことができます。
すると、あるとき準備が整って、目の前が開けて、「今ならできそう」という
感覚が生まれてきます。
そのときは、おもいきってジャンプです!
できそうだと感じられるまで、コツコツと準備する!
できそうだと思ったら、恐怖を乗り越えて、思い切って飛んでみる!
頭から落ちたとしても、得られることはとても大きいです。
エイテル王はブロガーです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
宇宙に浮かぶ美しい星、エイテル星。
エイテル星の王様、エイテル王はブロガーです。
エイテル王のブログ「お城の中のエイテルさん」は、科学の話題や、エイテル王
の日常を中心に、毎日更新されています。
その中の人気企画「がってんエイテル」では、エイテル王が感じている科学の
疑問が投げかけられ、それに、国中のみんなが自由に回答します。
エイテル王を納得させた回答には、「がってんマーク」がつけられ、
ガッテンガム宮殿へ招待され、エイテル王と夕食をともにすることができます。
今月の「がってんエイテル」のテーマは、次のようなものでした。
質問 エーテル星も、ほかの星も、宇宙空間にぷかぷかと浮いています。
エーテル星が止まっていて、他の星が動いているのでしょうか?
それとも、エーテル星以外のどこかの星が静止していて、残りの星は
動いているのでしょうか?
それとも、静止している星などないのでしょうか?
このことを考え始めると、夜も眠れません?
みなさんの回答をうかがって、納得し、安らかな眠りを取り戻したいです。
コメント (投稿者 新しい豚)
エーテルさん、こんにちは。いつもブログ楽しく拝見しています。
物体の速度は、どこかを静止していると決めて、はじめて決まると思います。
ですから、問題は、「どこを静止していると決めるのが妥当か」ということに
なります。
どこかの星を静止している決めるとすると、その星が、他の星と比べて何らか
の意味で「特別な存在」である必要があります。
わがエーテル星が、全宇宙の中で特別の存在であると主張する根拠はありません。
同じように、他の星が特別な存在があると考えるのも不自然です。
ですから、わたしは、「宇宙空間」が静止していると決めることを提案します。
宇宙空間は、すべての星にとって、特別な存在ですから、こう考えるのが自然な
気がします。
「静止している宇宙空間内を、すべての星が動き回っている」
と考えるとすっきりすると思うのですがいかがでしょうか?
コメント (投稿者 エーテルさん)
新しい豚さん、早速、コメントしていただきありがとうございます。
ご意見、とても説得力がありました。
でも、「宇宙空間が静止している」というところが、いまひとつ、はっきりと
イメージできません。
宇宙空間は、空っぽなんですか? それとも、そこには、何か物質があるの
ですか?
コメント (投稿者 実験大好きジョー)
エーテルさん、新しい豚さん、こんにちは。
私は、宇宙空間は空っぽではないと思います。
私たちの身の回りには空気がありますが、普段は見ることができません。
でも、空気は音波の媒質になっているので、音によって空気の存在を知ること
ができます。
空気を基準にとって、いろいろな物体の速さを決めることもできます。
エーテル星における空気と同じように、宇宙空間にも、空気のようなものが
あるのではないでしょうか。
なぜなら、光という波動はは宇宙空間を伝わってきますよね。
ということは、光を伝える媒質があるはずです。
その物質を基準とすれば、エーテル星がどのような速度でうごいているかどうか
を決めることができるのではないでしょうか。
コメント (投稿者 エーテルさん)
実験大好きジョーさん、コメントありがとうございます。
なるほど。「宇宙における空気」ですか?
もし、そのようなものがあれば、確かにすべての星の運動を表す基準として
適切な気がします。
コメント (投稿者 大臣)
エーテル閣下 突然の書き込み失礼します。
私からの提案です。
「宇宙空間における空気」を、わがエーテル星の栄光が永遠に続くことを願って、
「エーテル」と名づけてはいかがでしょうか?
「すべての星の運動を、『エーテル』を基準としてあらわす。」
この記述が、宇宙教科書に載せることには、大きな意義があると思います。
コメント(投稿者 エーテルさん)
大臣へ 禁止事項:ブログに政治を持ち込まないこと。を熟読のこと。
ただ、提案は面白いので、これからは「エーテル」を使うことにしましょう。
以下の記述を宇宙Wikiへ追加するように手続きをお願いします。
---- * ---- * ---- * ---- * ---- * ---- * ---- * ---- *
エーテル:宇宙空間にただよう空気のようなもの。光波の媒質と考えられる。
宇宙に存在する星の運動を表すための基準として適当だと思われる。
エーテル星のブログ「お城の中のエーテルさん」の中でたてられた
仮説。検証待ち。
---- * ---- * ---- * ---- * ---- * ---- * ---- * ---- *
もし、エーテルの存在が確かめられて、エーテル星がエーテルに対して静止して
いるということになれば、エーテル星は、宇宙の中で特別な存在であるという
ことになりますよね。
でも、エーテル星以外の星が、エーテルに対して静止していることが分かった
としたら、その星が、特別な存在であるということになってしまいますね
そのことを考えたら、心配で、また、眠れなくなってしまいました。
★たとえ話終了★
ニュートンは、「絶対空間」というものを考えました。
そして、絶対空間に対して静止した座標系を設定し、宇宙を表すことを提案しました。
そして、絶対空間の存在を支えるものとして、エーテルが考えられました。
さて、エーテルは実際に存在するのでしょうか?
その存在は、どのようにして確かめられるのでしょうか?
みなさんも、ぜひ、「どうしたら確かめられるかなぁ?」と考えてみてください。
※みなさんも、エーテル星の住民になって、コメントをつけてみませんか?
まぐネットのメルマガへの感想のところに、書いてください。
純粋に遊びですので、気軽にコメントを書いてくださいね。
僕も2つ考えました。
(例)(投稿者 大臣)
もし、他の星が静止しているということになったら、わがエーテル星はが格下
になってしまいます。
よって、わが星が静止しているということが確認できるまで、エーテル説の公表を
控えるべきではないでしょうか。
(例)(投稿者 気象予報士)
エーテルは、一様に分布しているのでしょうか?
空気は、場所によって密度が大きい場所(高気圧)と、小さい場所(低気圧)が
あります。そして、気圧の高いところから低いところへ風が吹きます。
エーテルにも、そういった現象があるのでしょうか?
あるとしたら、どうやって確かめられるのでしょうか。
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その際、もしよかったら、メルマガの感想も教えてくださいね。
要約機能つき翻訳機
「自然大全集」は、「無限図書館」にある「第1巻から無限巻」まで続く全集です。
本棚が無限個ある「無限図書館」以外には、置くことができません。
書いてある内容が、あまりに多いので、読み終えた人は誰もいません。
本の中身は、すべて古代文字「滑車形文字」で書かれています。
この「自然大全集」を理解するために、発明王、江尻尊(えじり・そん)は、
「要約機能つき翻訳機 おまかせゲンリー」
という機械を発明しました。
入力文字が、古代文字などの場合は、最初にある程度のデータを読み込んで、
そのデータをもとに文法規則を予測し、内容を把握します。
さらに、「人間が理解できる内容は、どうせ100ページ分」というあきらめ
のもと、どんな情報でも、100ページ以内に要約します。
その結果、どんなものでも、最終的には理解可能に結果が出力されます。
江尻尊は、「おまかせゲンリー」を使って、さまざまなものを翻訳&要約
していきました。
そして、ついに、「自然大全集」を「おまかせゲンリー」に読み込ませる
という大プロジェクトに取りかかりました。
早速、第1巻から「おまかせゲンリー」に読み込ませていきます。
最初の10年は、「滑車形文字」の文法構造をつかむことに使われました。
一部の学者からは、
「10年でよいのか?無限巻あるんだぞ!」
という批判がありましたが、江尻尊は、自分が生きているうちに
このプロジェクトの結果を見たかったので、10年で次の作業に移ることに
しました。
いよいよ読解作業に入りました。
自然大全集を読んでいくと、似たような内容がくり返し登場します。
これらをすべて同じものとしてまとめて要約していきます。
50年後には、「おまかせゲンリー」は、1億巻まで読みすすめました。
要約された内容は、最近は、あまり変更されることなく、表現を少し
変更する程度です。
江尻尊は、この結果を見て、100歳の誕生日に記者会見を開きました。
「おまかせゲンリーによる、自然大全集の要約に成功した。」
ある記者から、質問が飛びました。
「でも、無限巻あるんですよ。もし、自然大全集を1冊の小説に例えると
最初の1行もまだ読んでいないことにはならないのですか?」
江尻尊は答えた。
「私が言ったのは、究極の要約に到達したという意味じゃない。」
「おまかせゲンリーによって、自然大全集を理解可能にするという
試みが成功だと言っているのだ。」
「私の寿命が尽きても、おまかせゲンリーは動き続けるだろう」
「今の要約が正しいかどうかも、おまかせゲンリーが明らかにする
だろう。」
別の記者から質問が飛んだ。
「でも、無限巻あるんですよ。本当におまかせゲンリーによって、
要約が正しいかどうかが判定できるのですか?」
記者会見は、いつまでも終わることがなく続くのだった。
★たとえ話終了★
僕は、物理を、
「無限の自然を、有限な脳で理解可能なものにするためのインターフェース」
というふうにイメージしています。
インターフェースという言葉が分かりにくいかと思って、今回は、
「要約機能つき翻訳機」
ということにしてみました。
無限を有限のものに落とし込むときには、常に困難がつきまといます。
その困難が伝わったでしょうか。


